TeXとは...
TeX(テフ,またはテックと読む)は,組版をするためのソフトウェアです.
組版とは,活版印刷の技法で「原稿の指定に従って,順序・字詰め・行数・字間・行間・位置などを正しく組み上げること」を意味しています.つまり,印刷物を作るために文字などを配置してくれるソフトウェアとなります.
なお,実際はTeXをベースに使いやすくしたLaTeXを利用することになります.
TeX環境の準備
PCにインストールする場合
TeX Wikiのサイトを参考にする.
研究室のMacにはTeXLiveをベースにしたMacTeXがインストールされています.一部のWindows機にはW32TeXがインストールされていますが,あまり管理されていないので注意してください.
クラウド版のTeXを利用する場合
PCにインストールしなくても,クラウド上でLaTeXを利用することができるサービスが複数存在します. 無料で利用できるものとしては,株式会社アカリクが提供しているCloud LaTeXや,Overleafがあります.
保存とコンパイル
ソースファイル
TeXはCプログラムと同様に,まず,ソースファイルをエディタで作成しそれをコンパイルして文書を得ます.
ソースファイルは,ファイル名は英数字で,拡張子は.texとします. TeXLiveは使用する文字コードがユニコード(UTF-8)です.
コマンドラインでのコンパイル
TeXのコンパイルに最低限必要なコマンドは以下の通りです.
-
platex ファイル名.tex
: dviファイルに変換 -
dvipdfmx ファイル名
: dviファイルをpdfファイルに変換
統合環境
実際には統合環境を使用すると便利なので好きなものを使いましょう.クラウド版のTeXはそのサイトが用意するオリジナルの統合環境で作業することになります.
PCにTeXLiveをインストールした場合,macOS版にはTeXShop,Windows版の場合はTeXworksという統合環境アプリケーションが同胞されます.これら以外にも例えばVisual Studio CodeでTeXを扱えるようにする設定も可能です.
ここではmacOSの場合のTeXShopでの設定を紹介します.まず,TeXShopの「環境設定」の「設定プロファイル」で「pTeX(ptex2pdf)」を選び,エンコーディングを「Unicode (UTF-8)」にします.
過去の資料などでS-JISのコードで書かれたソースはそのままTeXShopで開くと文字化けします.その場合は,以下のコマンドでソースの漢字コードをUTFに変換すればいいです.
nkf -w --overwrite *.tex
基本構成
注意 : S-JISでは,以下の説明で出て来るバックスラッシュ(\)と円マーク(¥)は内部では同じ文字として扱われますが,文字コードをUTF-8とした場合は.バックスラッシュとは別文字の扱いになります.MacのJISキーボードの場合は.optionキーを押しながらキーを押すことでバックスラッシュが入力できます.なお,TexShopのエディタ上ではキーを押せば自動的にバックスラッシュに変換されます.
-
自分のホームディレクトリにTeX用のフォルダを作成して下さい.
-
適当なエディタで英数字でファイル名を付けて拡張子を .tex にして下さい.これを先ほどのフォルダに保存して下さい.
-
\documentclass[twocolumn,12pt]{jsarticle}
と記入します.[ ]
内は段組,文字サイズ,用紙サイズを指定します.もしjsarticle
でエラーが出たらjarticle
で試してみてください. -
\pagestyle{myheadings}
と記入します. -
\markboth{}{}
と記入します. 内はヘッダに出力したい内容を表示します.左のカッコ内は奇数ページ, 右のカッコ内は偶数ページのヘッダです. 例{学籍番号 氏名 日付}{学籍番号 氏名 日付}
-
\begin{document}
と記入します. 文書の始まりを意味します. -
\end{document}
と記入します. 文書の終わりを意味します.
以上で文書作成の準備は完了しました.
文書作成
ここからは\begin{document}
と\end{document}
の間に記入していきます.
本文
本文は普通に書き込めばいいですが,ソースファイル上で改行してもそれは無視されます.改行させたい場合は,2個以上の改行(1つ以上の空行)を入れます.または
\\
のようにバックスラッシュ二つでも改行になりますが,インデント(行の頭が一文字下がる)されないので,段落の区切りには使いません.
見出し
報告書やレポートを書くときに区切りとして節を用います.(ex. 「1. TeXとは...」 とか 「5. 文章作成」など)
\section{ }
{ }内には節名を記入します.
\subsection{ }
{ }内には小節名を記入します.
\subsubsection{ }
{ }内には小小節名を記入します.
また,節に番号を付けたくない場合はsection
やsubsection
,subsubsection
と{の間に*
を付ける事により消すことができます.
\section*{ }
箇条書き
・付き箇条書き
ソース
\begin{itemize}
\item あいうえお.
\item かきくけこ.
\end{itemize}
出力結果
・あいうえお.
・かきくけこ.
番号付き箇条書き
ソース
\begin{enumerate}
\item さしすせそ.
\item たちつてと.
\end{enumerate}
出力結果
1.さしすせそ.
2.たちつてと.
図
図のファイル形式
図はPDF形式,JPEGやPNGなどの形式のファイルで挿入できます.ブロック図やイラストなどドロー系の図はPDF形式で書き出して文書に張り込むとクオリティが高いです.
また,写真やスキャンイメージなどのビットマップ系の画像はJPEGやPNG形式のファイルのままでもTeXで扱えますが,画像の量が多いと,処理に時間がかかる場合があります.その場合はこれらの画像ファイルをあらかじめPDF形式に変換しておくと処理が速くなります.ちなみに,Mac上なら,プレビュー.appで開く事ができるファイル形式(PDF, JPEG, PNGなど)ならすべてPDF形式で書き出すことができます.
図の挿入
はじめに \begin{document}
より前に
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
と記入します. そして図を挿入したい場所に
\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=0.8\columnwidth]{ファイル名.pdf}
\end{center}
\caption{図の名前}
\label{ラベルの名前}
\end{figure}
と記入します.サイズを変更したい時は3行目の数字を小さくしてください.ただし,実際は指定した位置に挿入されるとは限らず,TeXが最も適切な位置を探して挿入します.htbp
の意味は次表のとおりで,文字の順番に優先順位が高くなります.
記号 | 意味 |
---|---|
h |
記述した位置に出力 |
t |
ページ上に出力 |
b |
ページ下に出力 |
p |
独立したページに出力 |
表
例として3行3列の表の書き方を示します.
ちなみに,下の4行目| |
内のl
, c
,
r
はそれぞれ,左詰め,真中寄せ,右詰めの意味です.また,l
, c
,r
の数は書きたい列の数で決まって来ます.下の例は3行3列なので,| |
の間にl
,c
,r
合わせて3つ用意しました.多すぎる分には問題ありませんが,実際書きたい列より少ないとエラーが出るので注意してください.
また,\hline
は横線を意味します.
\begin{table}[htbp]
\begin{center}
\caption{表の名前}
\begin{tabular}{|l|c|r|}
\hline
セル1 & セル2 & セル3 \\ \hline
セル4 & セル5 & セル6 \\ \hline
セル7 & セル8 & セル9 \\
\hline
\end{tabular}
\label{表のラベル}
\end{center}
\end{table}
出力した結果は以下のようになります.

数式
文書の途中に書く場合
ソース
伝達関数$G(s) = \frac{1}{1+2s}$を定義する.
出力結果
伝達関数$G(s) = \frac{1}{1+2s}$を定義する.
一行の数式
ソース
\begin{equation}
G(s) = \frac{1}{1+2s} \label{数式名}
\end{equation}
出力結果
$$G(s) = \frac{1}{1+2s}$$
複数行の数式
ソース
\begin{eqnarray}
G(s) &=& \frac{1}{1+2s} \\
G(s) &=& \frac{1}{s^2 + s + 1}
\end{eqnarray}
出力結果
$$ \begin{aligned} G(s) &= \frac{1}{1+2s} \\ G(s) &= \frac{1}{s^2 + s + 1} \end{aligned} $$
このように&
で =
を囲むとそこで揃えてくれます.
なお,このように数式を書くと数式番号がついてしまいますが,もし付けたくない場合は,環境名のequation
やeqnarray
の最後にアスタリスク(*
)をつけるか,付けたくない数式の後ろに以下の命令を付ける事で解消できます.
\nonumber
表,図,数式の番号について
例えば,「◯◯を表△に示す」,「図△に◯◯を示す」,「◯◯の法則より(△)式が求まる」など,表や図,数式の番号を文章中に使う場合,Wordなどの文章作成ソフトでは数字をベタ打していたかもしれませんが,TeXでは次の命令が利用できます.
\ref{}
{}内には表や図を貼付ける際に指定したラベル(\label
の{}の中)を入れます.
これを使用することにより,表や図の配置を変えても,自動で表,図などの番号を変えてくれます.なお,ラベルを参照させるときは,TeXのコンパイルを2回繰り返す必要があります.1回目のコンパイルでラベルの対照表を内部で作り,2回目のコンパイルでそれらが使用されます.コンパイルの回数が足りないと,「図??」のように??が挿入されますので注意してください.
使用例
表\ref{◯◯◯}
図\ref{△△△}
式(\ref{×××}),(\ref{×××})式